安全に関する国際規格(ISO/IEC)

国際規格の必要性

WTO(*1)加盟国は、TBT(*2)協定に基づき、各国の基準/規格類(日本ではJISなど)を国際規格であるISO(*3)規格やIEC(*4)規格に整合させなければなりません。
機械類にISO/IEC規格の要求事項を適用することで、各国の技術基準に整合させることが可能になります。

*1)

WTO(世界貿易機関)は、GATTに代わり、1995年1月に発足しました。本部はスイス・ジュネーブにあり、2016年12月現在で164の国と地域が加盟しています。WTOは、各国が自由に物(もの)・サービスなどの貿易ができるようにルール(=各種の協定)を決め、貿易障壁を削減・撤廃するために、加盟国間の貿易交渉の場を提供する国際機関です。また、WTOには貿易に関する国際紛争を解決するためのシステムが設けられています。

*2)

国際協定として合意されたGATTスタンダードコードがTBT協定として改訂合意され、1995年1月、WTOの発足と共にWTO協定に包含されたものです。TBT協定はWTO一括協定となっており、WTO加盟国すべてに適用されます。TBT協定は、工業製品などの各国の規格および適合性評価手続き(規格・基準認証制度)が貿易障害とならないよう、国際規格を基礎とした国内規格策定の原則を規定しています。これらにより、規制や規格が各国で異なることで国際貿易が妨げられること(つまり、貿易の技術的障害:Technical Barriers to Trade)をできるだけなくそうとしています。

*3)

ISOは、正式名称を国際標準化機構(International Organization for Standardization)と言い、各国の代表的標準化機関から成る国際標準化機関で、電気・電子技術分野を除く全産業分野(機械、鉱工業、農業、医薬品、マネジメントなど)に関する国際規格の作成を行っています。
○本部(中央事務局):スイスのジュネーブ
○会員数:162ヵ国
○規格数:22,467規格(2018年12月現在)

*4)

IECは、正式名称を国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission)と言い、電気・電子技術分野の国際標準・規格を作成し、その普及を図る国際標準化機関です。
○本部(中央事務局): スイスのジュネーブ
○会員数:86ヵ国
○規格数:7,725規格(2018年1月現在)

国際規格の体系と階層構造

安全に関する国際規格は、ISO/IECガイド51に基づき、基本安全規格(A規格)、グループ安全規格(B規格)、製品安全規格(C規格)に分類されます。

  • 基本安全規格(A規格):広範囲の製品およびシステムに適用可能な一般的な安全側面に関する基本的な概念、原則および要求事項からなる。

  • グループ安全規格(B規格):いくつかの製品もしくはシステムに、または類似の製品もしくはシステムのファミリーに適用可能な安全側面からなる。できる限り基本安全規格を引用している。

  • 製品安全規格(C規格):特定の製品もしくはシステムに、または製品もしくはシステムのファミリーのための安全側面からなる。できる限り基本安全規格およびグループ安全規格を引用している。

ISOやIEC規格の数の多さには圧倒されますが、必ずしも個別の機械ごとに1つ1つ存在するわけではありません。
日々進歩する製品に合わせて製品安全規格の技術内容をアップデートすることは、事実上不可能です。

そこで、ISO/IECガイド51によりISOやIEC規格は体系的に階層分けされ、それらの規格を組み合わせて活用することで最新の機械類にも対応できるようになっています。

安全性評価の手順

機械類の設計を行う上で、安全性評価を行うために、最初に適用規格を決定する必要があります。先に紹介したとおり、安全に関する国際規格は基本安全規格のA規格、グループ安全規格のB規格、製品安全規格のC規格によって体系づけられています。原則として各々の関係は、A規格の要求に基づいてB規格が機械共通の安全要求事項としてインタロック、非常停止、安全距離や表面温度などを規定しています。更にA規格とB規格の要求に基づいてC規格が個々の機械設備の安全要求事項を具体的に規定しています。

対象となる機械設備に適用可能なC規格が存在する場合、そのC規格を適用規格として、その安全要求事項を満足する必要があります。ただし、実際にはすべての機械類に対してC規格が整備されているわけではありません。加えて、日々進歩する機械設備の高性能化や多様化により、既存のC規格の適用範囲を超える場合があるのも実情です。

このように利用可能なC規格が存在しない場合や、また既存のC規格での安全性評価では不十分な場合は、A規格やB規格の安全要求事項に基づいて安全性評価を進める必要があります。

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