グループ安全規格 IEC60204-1:2016

1. IEC60204-1の位置付け

ISO12100では、リスクアセスメント結果に基づく電気的な危険源に対する方策は、IEC60204-1「機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項」を参照するように記載されています。このIEC60204-1は、機械安全分野における電気装置の安全を確保するための基本となる重要な規格です。

この規格の目的は以下の3つです。

  • 人と財産(装置、機器、部材等)の安全(safety of persons and property)

  • 制御応答の一貫性(consistency of control response)

  • 操作及び保全の容易性(ease of operation and maintenance)

    人が「感電」しないことだけでなく、機械自体・使用される機器・ワーク等の部材が「電気火災」等で損害を受けないことも目的としています。それだけではなく「制御が意図した通りに応答すること」、「人間工学原則に基づく操作性」、「保全の容易性」の確保も目的としています。これらを実現するための要求事項が記載されています。

    適用範囲は以下になります。

  • 稼働中は手で運搬できない機械に用いる電気・電子・プログラマブル電子の装置及びシステム(連携して稼働する機械グループを含む)

  • 機械の電気装置の電源接続点から内側の部分

  • AC1000V/DC1500V以下、200Hz以下で動作する電気装置

    なお、この規格では、次に示される機械の電機装置に適用される追加および特別な要求事項は規定されていません。

  • 屋外(建物や保護構造物の外側)で使用する機械

  • 爆発の可能性のある材料(塗料、おがくずなど)を使用、加工、生産する機械

  • 爆発、燃焼の可能性のある雰囲気内で使用される機械

  • 特定の材料を使用、生産する場合に特別のリスクがある機械

  • 鉱坑内で使用する機械

  • 縫製用の機械、ユニット、システム(IEC60204-31で規定)

  • 巻上機械(クレーン、ホイスト等)(IEC60204-32で規定)

  • 半導体製造装置(IEC60204-33で規定)

    図1は、この規格に関係する項目を示したものです。

iec60204-img01-ja

図2は、図1を電気制御盤に当てはめたものです。


iec60204-img02-ja

2. 電圧範囲と使用環境

まず、使用する電気部品・電気機器は、以下を満足する必要があります。

  • 意図する用途に適していること。

  • 関連するIEC規格があれば、それらに適合していること。

  • 供給者の使用上の指示に従って用いること。


上記を満足した上で、以下の条件で電気装置が正しく作動する必要があります。


電圧範囲(4.3)

電気装置は次のいずれかの電源条件で正しく作動する必要があります。

交流電源(4.3.2)

電 圧 定常時の電圧が公称電圧の0.9~1.1倍周波数 公称電源周波数の0.99~1.01倍(連続)または0.98~1.02倍(短時間)瞬時停電 電源の中断又は無電圧状態は,供給電源のサイクルのどの時点でも3 ms以下で、次の中断までの間隔は1秒を超える。

直流電源(4.3.3)

電 圧 公称電圧の0.85~1.15倍
電池駆動車両の場合は、公称電圧の0.7~1.2倍
瞬時停電 5ms以下

コンバータ電源
電 圧 公称電圧の0.9~1.1倍瞬時停電 20ms以下。次の中断までの間隔は、1秒を超えるものとする。

周囲温度(4.4.3)

最低条件として、エンクロージャ外の周囲温度が5℃~40℃の間で正常に作動しなければならない。

湿度(4.4.4)

最高周囲温度+40℃において相対湿度が50%以下のとき、正常に作動しなければならない。温度が低い場合には高い湿度(たとえば、+20℃では90%)も許容する。

高度(4.4.5)

電気装置は、海抜1,000m までの高度で正常に作動しなければならない。
装置を高度の高い場所で使用する場合、次の特性低下を考慮に入れる必要がある。

  • 耐電圧

  • 機器の開閉性能

  • 空冷効果

輸送および保管(4.5)

輸送中および保管中に長時間では-25℃~+55℃、24時間を超えない短時間では+70℃までの温度の影響に耐えるように設計するか、または適切な温度対策をとらなければならない。

3. 工場電源との接続

制御盤等の機械の電気装置への入力電源導体の接続は電源断路器に直接接続するか、プラグ(コンセントなど)で接続します。そのとき、可能な限り単一電源に接続することが推奨されています。

iec60204-img03-ja

電源断路器の要求事項(適用規格は主にIEC60947-3)

機械への各入力電源や機械に搭載している各電源に対して電源断路器を設置する必要があります。(5.3.1)
電源断路器は、例えば保全員が制御盤を開けて何らかのメンテナンスを行うときに、工場電源と制御盤内を断路するという役割を持っています。そうすることで、保全員は電気的危険源にさらされることなくメンテナンスを行なえます。電源断路器はこのように重要な役割を持つため、以下の全ての要求事項を満足する必要があります。

  • オフ(断路)、オン(閉路)の各位置を、記号“○”および“|”で明示する。

  • 接点間ギャップを目視できる。または、断路されるまでオフ(断路)を表示できない位置表示器を持つ。

  • エンクロージャ外に操作手段(例えば、ハンドル)を持つ。非常操作を目的としない場合、ハンドルの色は、黒または灰色が推奨される。非常操作を目的とする場合、ハンドルの色は赤色にしなければならない。

  • オフ(断路)位置にロックできる手段(たとえば、南京錠)を備えている。

  • 電源回路のすべての充電導体を断路できる。

  • 機械の電気装置の中で最大の負荷容量を持つ電動機の拘束電流と、他のすべての電動機およびその他の負荷の通常の作動電流との総和の電流を遮断できる遮断容量をもつ。

iec60204-img04-ja
  • 電源断路器の操作手段は、作業面から0.6m以上1.9m以下の容易に手が届く位置に設けなければならない。上限は1.7mを推奨する。

iec60204 img05-ja

例外回路:
例外回路とは、異常時の安全確保や保全のために電源断路器で断路しなくてもよい回路です。次に示すものを例外回路とすることができます。

  • 保全または修理作業中に必要な照明用電源回路

  • 修理用または保全用の工具および装置(例えば、ハンドドリル、試験装置)の接続だけに用いるコンセント

  • 電源故障時の自動トリップ目的のみに用いる不足電圧保護回路

  • 装置を正しく作動させるために常に電源供給が必要な回路(例えば、温度制御して用いる測定装置、保温用ヒータ)

ただし、これらの例外回路には、個別に断路器を備えることが推奨されています。

iec60204-img06-ja

4. 感電防止

電気設備は、感電から保護する対策が必要です。
充電部とは、IEC60204-1では「通常の使用状態で電圧が印加される導体および導電性部分(3.1.38)」と定義されます。
感電には2種類あり次のように定義されています。

  • 直接接触(3.1.15) :充電部への接触

  • 間接接触(3.1.34) :絶縁故障によって充電状態となった露出導電性部分(注1)への接触
    注1)正常時は充電されないが絶縁故障時に充電状態になり得る、人が接触可能な電気装置の導電性部分

    上記感電に対する保護方策は次のように定義されています。

  • 基本保護(3.1.4): 障害(絶縁故障)のない状態における感電(直接接触による感電)からの保護。

  • (絶縁)故障保護(3.1.31): 単一故障状態における感電(間接接触による感電)からの保護

    これらの保護方策について、IEC60204-1では次の表1のように分類されています。

表1 感電防止の手法
基本保護(6.2) エンクロージャによる保護(6.2.2)
絶縁物による充電部の保護(6.2.3)
残留電圧に対する保護(6.2.4)
バリアによる保護(6.2.5)
アームズリーチ外への設置による保護又は、オブスタクルによる保護(6.2.6)
(絶縁)故障保護(6.3) 接触電圧の発生:防止(6.3.2) クラスⅡ設置の使用又は同等の絶縁による保護(6.3.2.2)
電気的分離による保護(6.3.2.3)
電源の自動遮断による保護(6.3.3) a)TN接地系統
b)TT接地系統
c)IT接地系統
PELV使用による保護(6.4)

基本保護は、正常時に作業者が充電部に直接接触して感電しないようにするために「エンクロージャなどで覆う」、「距離をとる」などの手法をとります。

(絶縁)故障保護は、絶縁故障時に充電状態となった露出導電性部分によって作業者が感電しないようにするために「そもそも絶縁故障時に充電状態にならないようにする」もしくは「露出導電性部分が充電状態になった場合は、過電流保護機器もしくは漏電遮断器により電源を自動的に遮断する」のいずれかの手法をとります。

PELV使用による保護は、間接接触および限られた接触面積の直接接触による感電から人を保護する手法をとります。

5. 装置の保護

過電流や温度上昇などによる装置の破壊や、電気火災を防止するための手法を言います。代表的な手法は、過電流保護機器による装置の保護です。

電気装置内の回路電流が、構成部品の定格値または導体の許容電流のいずれか小さい方を超える可能性がある場合、過電流保護機器を使用する必要があります(7.2.1)

次に示すものには過電流保護機器が必要です。

  • 電源導体(7.2.2)

  • 電力回路(7.2.3)

  • 制御回路(7.2.4)

  • 保守用コンセント(7.2.5)

  • 照明回路(7.2.6)

  • 変圧器(7.2.7)


また、次にあげるのは過電流保護機器の設置に関する条件です。以下の全ての条件を満足しない限り、過電流保護機器の配置が必要です。

  • すべての導体の電流容量が、少なくとも負荷の電流容量以上。

  • 電流容量が減少する導体から過電流保護機器までの導体長が3mを超えないこと。

  • 短絡する可能性が少ない方法で導体を布設すること。(例えば、ダクト、エンクロージャによる保護)

iec60204-img07-ja

6. 等電位ボンディング

等電位ボンディングとは「導電性部分間の電気的接続であって,これによって等電位を達成することを意図するもの。(3.1.26)」であり、保護ボンディングと機能ボンディングが含まれます。

保護ボンディングとは「感電保護のための等電位ボンディング(3.1.49)」であり、機能ボンディングとは「電気装置が正常に機能するために必要な等電位ボンディング(3.1.32)」です。
規格本文中に「保護ボンディングは、感電から人を保護する(絶縁)故障保護である」と記載されているように、特に絶縁故障時に重要な役割を果たします。

保護ボンディング回路は次の相互接続により構成されます。(8.2.1)

  • PE端子(外部保護導体の接続用端子)

  • 電気装置内の保護導体(注)
    注):電気装置の露出導電性部分から保護接地(PE)端子への一次故障電流経路となる導体

  • 電気装置の導電性構造部分および露出導電性部分

  • 機械の導電性構造部分


これらを相互接続することにより、絶縁故障時の地絡や漏電による感電から人を保護します。

なお、地絡が発生した場合、保護導体には大電流が流れる可能性があります。そのため、保護導体は大電流による熱的ストレスに耐える必要があります。また、保護ボンディング回路の導通性を確保するために機械的損傷を防ぐ必要もあります。

iec60204-img08-ja
保護ボンディング回路
(1) 保護導体及び PE 端子の相互接続
(2) 露出導電性部分の接続
(3) 保護導体として用いる電気装置取り付けプレートへの保護導体の接続
(4) 電気装置の導電性構造部分の接続
(5) 機械の導電性構造部分
保護ボンディング回路に接続しなければならない部分(保護導体として使用してはならない)
(6) 可とう性又は剛性構造の金属ダクト
(7) 金属のケーブルシース又は外装
(8) 可燃物を含む金属の管路
(9) 外部導電性部分。機械の電源とは無関係に接地され,電位をもち得るが一般に接地電位となる場合。例えば,金属の管路,フェンス,梯子,手すり
(10) 可とう性又はプライアブル(手で成形可能)な金属製のコンジット
(11) 支持ワイヤ,ケーブルトレイ及びケーブル梯子の保護ボンディング
機能上の理由による保護ボンディング回路への接続
(12) 機能ボンディング
略号の凡例
T1 補助変圧器
U1 電気装置の取り付けプレート

各保護導体の接続点には、以下いずれかの表示が必要です。

 
・記号:
  ・文字「PE」(図記号が望ましい)
 ・緑と黄との2色組合せ
 ・上記の組合せ
なお、機能ボンディングの接続点には、記号:の表示が推奨されています。


7. 制御回路および制御機能

IEC60204-1の目的にありますように、制御応答の一貫性(consistency of control response)を確保することが安全上重要です。そのため、以下の要求事項があります。
・制御回路の電源電圧
・制御機能としての停止、運転

制御回路に交流電源を供給する場合は、制御回路用の変圧器を使用しなければなりません。この変圧器は、分離巻線形(複巻)でなければなりません。(9.1.1)
また、制御回路電圧は、次の電圧を超えないことが望ましいとされています。(9.1.2)

交流制御回路
- 公称周波数50 Hz 230 V
- 公称周波数60 Hz 277 V

直流制御回路
- 公称電圧 220 V

「5.装置の保護」で触れたように、制御回路には、過電流保護装置を設置しなければなりません(9.1.3)

iec60204-img09-ja

制御機能として代表的なものを挙げます。

起動機能(9.2.3.2)

機械の起動機能はエネルギーを与えることで作動すること。安全機能および/または安全方策が有効な時だけ起動可能にすること。

停止機能(9.2.3.3)

停止機能は、起動機能に優先(割り込み)して作動しなければならない。なお、停止機能は、停止カテゴリとして次の3つに分類されます。リスクアセスメントおよび/または機械の機能要求に従い、停止カテゴリを選択する必要があります。

表2 停止カテゴリ
停止カテゴリ 制御上の呼び名 ISO14118
(JIS B 9714)
停止状態の説明
0 非制御停止 停止状態 機械アクチュエータの動力を即時に遮断することによる停止
1 制御停止 停止するために機械アクチュエータが動力を使える状態で停止し,停止が完了してから動力を遮断する制御停止
2 休止状態 停止完了後も機械アクチュエータに動力を供給したままにする制御停止

運転モード(9.2.3.5)

各機械は、種類および用途に応じた運転モード(例えば、手動モード、自動モード、ティーチングモード、保全モード)を持つことができる。
運転モード毎に安全対策およびその影響が異なる場合は、モードの各位置でロックできるモード切替装置(例 キースイッチ)を使用しなければならない。また、選択したモードは明確に識別できなければならない。モード切替装置の代わりに特定された機能の使用を専用のオペレータに制限する別の選択方法(例 アクセスコード)を使用しても良い。
モードを選択しただけで機械が運転を開始してはならない。


非常停止(9.2.3.4.2)

  • 非常停止は、停止カテゴリ0 又は停止カテゴリ1 の停止として機能しなければならない。

  • 全てのモードにおいて、他の機能および操作に優先しなければならない。

  • 他の危険源を発生させることなく、危険な運動を可能な限り迅速に停止しなければならない。

  • 非常停止の解除によって再起動してはならない。

    なお、ISO13850:機械類の安全性-非常停止機能-設計原則にその他要求事項が記されています。以下のリンク先にて解説していますので、合わせてご確認ください。

iec60204-imgX-jp

イネーブル装置

起動制御に連携して用いる補足的手動操作装置であり、連続的に操作するときのみ機械の起動を許可する。
(起動自体は他の装置で行なう)

iec60204-imgHE-en

インターロック装置

特定の条件下で危険な機械機能の運転を防止する機械装置、電気装置、またはその他の装置

なお、ISO14119:機械類の安全性-ガードと共同するインターロック装置-設計及び選択のための原則にその他要求事項が記されています。以下のリンク先にて解説していますので、合わせてご確認ください。


iec60204-imgs-11-ja

ケーブルレス制御(CCS)

無線、赤外線などを用いて指令、信号を伝達する制御。ケーブルが存在しないため、どの機械が動き出すか分からずに意図しない危険状態を避けるために制御対象を明確にする必要があります。
また、複数箇所から同時に操作可能とした場合、他者からの介入によって操作者の意図通りに機械が動作せず、操作者が危険状態となることも想定されます。そのため、機械の操作を一カ所から行う「シングルポイントコントロール」が要求されます。 また、制御指令、信号の伝達が途切れた場合、また復旧した場合に危険状態とならないことも必要です。

故障時の制御機能

電気装置内の故障又は干渉妨害により危険状態となる可能性がある場合や、機械もしくは加工中の工作物を損傷する可能性がある場合には、電気制御システムは機械のリスクアセスメントによって決定された適切な性能を備える必要があります。
安全関連制御機能に関してはISO 13849-1、IEC62061 の要求事項を適用する必要があります。
なお、ISO13849-1:機械類の安全性-制御システムの安全関連部-第1部:設計のための一般原則については以下のリンク先にて解説しています。合わせてご確認ください。

8. オペレータインターフェイス

オペレータインターフェイスの制御機器は、機器の配置、適切な設計、追加保護方策によって、ヒューマンエラー(不注意による誤操作)が起こる可能性を最小にする必要があります。そのため、人間工学原則の考慮が必要です。

iec60204-img10-ja

アクチュエータの色

押ボタンスイッチ等のアクチュエータは下表に従って色分けしなければならない。

表3 押ボタンの色
機能 使用色 注意事項
起動 推奨:白、灰、黒、緑
白が一番よい
使用不可:赤
非常停止
非常スイッチングオフ
赤のアクチュエータ
黄の背景
停止 推奨:黒、灰、白
黒が一番よい
使用不可:緑
赤は非常停止の近くでは
用いないことが推奨
起動・停止 交互切替 推奨:白、灰、黒 使用不可:赤、黄、緑
ホールド・ツゥ・ラン 推奨:白、灰、黒 使用不可:赤、黄、緑
リセット 必須:青、白、灰、黒 使用不可:緑
リセット 兼 停止 推奨:白、灰、黒
黒が一番よい
使用不可:緑
異常時の操作   /
自動サイクルの中断
黄


表示灯の色

表示灯は機械の状態に応じて、下表に従って色分けすることが望ましい。

表4 表示灯の色
色 意味 説明 オペレータの行為
赤 非常 危険状態 危険状態への即時対応
(例:機械電源のスイッチングオフ,
危険状態への警戒,及び機械から離脱)
黄 異常 異常状態
危険が差し迫った状態
監視及び/又は介入
(例:意図した機能の再実行)
青 強制 オペレータの行動を必要とする
状態
必須の行動
緑 正常 正常状態 任意
白 中立 その他の状態。
赤、黄、緑、青の使用に疑問がある場合
監視

積層表示灯は、上から赤、黄、青、緑、白の順番が望ましい。

9. 制御装置の配置、取付けおよびエンクロージャ

全ての制御装置(コントロールギヤ)の配置および取付において、次の考慮が必要です。
・接近および保全の容易性
・設置環境または条件に対する保護
・機械および関連装置の運転および保善の容易性

上記を実現するために以下に示す要求事項があります。

制御装置の配置および取付け(11.2)

  • 制御装置のすべての部品は、それらの部品または配線を外さずに識別できるような位置、向きに配置しなければならない。部品の作動確認または交換が必要となる場合は、他の装置および部品を外さずに確認および交換を行えることが望ましい。

  • 操作および保全を容易に行えるように取り付けなければならない

  • 機器の調整、保全、取外しに特殊な工具が必要な場合は、その工具を提供しなければならない。

  • 定期的な保全、調整が必要な機器は、作業面から0.4mから2.0mに取り付けなければならない。

  • 端子は、作業面から0.2m以上の高さに配置し、配線が容易に行えることが望ましい。

  • 操作、表示、測定および冷却以外の用途に用いる機器を、取り外しが想定されるエンクロージャの扉またはカバーに取り付けてはならない。

  • 通常運転中に取り扱う複数のプラグイン形式の機器は、組合わせを誤ると機能が正しく作動しない場合は、誤挿入できない構造にしなければならない。

iec60204-img11-ja

エンクロージャの要求仕様(11.3、11.4)

  • 外部からの固体および液体の侵入に対する制御装置の保護は、機械の運転を意図する場所での外部からの影響(すなわち、設置場所、物理的環境条件)を考慮して適切でなければならない。また、ホコリ、冷却剤、削りくずなどに対しても十分に保護しなければならない。

  • 制御装置のエンクロージャは、例外を除き少なくともIP22の保護等級を持つものでなければならない。
    (IP:保護等級に関しては用語の定義122頁を参照)

  • エンクロージャの扉およびカバーの止め金具は、脱落防止形が望ましい。

  • エンクロージャの窓の材料は、想定される条件に応じた機械的・化学的強度が必要である。

  • 制御装置エンクロージャの扉(推奨)

- 垂直丁番取付け
- 幅:0.9m以下
- 開放角:95°以上

iec60204-img12-ja
  • エンクロージャに開口部(ケーブル口など)を設ける場合は、装置に必要な保護等級を確保する手段を提供しなければならない。

  • ケーブル引込み用の開口部は、現場で容易に開けられる必要がある。

  • 機械内のエンクロージャの底部には、結露による凝縮液を排出するために適切な開口部を設けてよい。

10. ケーブルの選択

導体およびケーブルは、使用条件(たとえば、電圧、電流、感電保護、ケーブルの密集度)や周囲温度、水、腐食性物質の存在、機械的応力、火災の危険に対して適切なものを選択する必要があります。

ケーブルの導体

・導体には銅を用いることが望ましい(12.2)
・導体の断面積は必要な強度を確保するため基本的には表5に従わなければならない(12.2)

表5 適切な機械的強度を維持するための最小断面積

布設場所 用途 導体・ケーブルの種類(単位:mm2)
単芯 多芯
可とう性
クラス5
又は
クラス6
非可とう性
単線(クラス1)
又は
より線(クラス2)
2心
シールド付
2心
シールド
なし
3心以上
シールド付
又はなし
(保護用)エンクロージャ
外の配線
動力回路
(固定)
1.0 1.5 0.75 0.75 0.75
動力回路
(頻繁に動く)
1.0 ー 0.75 0.75 0.75
制御回路 1.0 1.0 0.2 0.5 0.2
データ通信 ー ー ー ー 0.08
エンクロージャ内の
配線(a)
動力回路
(固定)
0.75 0.75 0.75 0.75 0.75
制御回路 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2
データ通信 ー ー ー ー 0.08

a)個別製品規格に特別の要求事項がある場合を除く。

ケーブルの絶縁被覆

・ケーブルおよび導体の絶縁被覆に必要な耐電圧(12.3)

- 交流50Vまたは直流120Vを超える場合
交流試験電圧2000Vで5分間

- PELV 回路の場合
交流試験電圧500Vで5分間

  • 絶縁被覆は、運転中または布設中、絶縁が損なわれない機械的強度・厚さが必要(12.3)

  • 絶縁被覆は火炎伝搬性や、毒性・腐食性煙霧発生による危険源の考慮が必要(12.3)

ケーブルの電流容量

  • 電線の電流容量は、次に示す主な依存要因を考慮する(12.4)

- 導体断面積(導体抵抗)
- 絶縁被覆材料(絶縁体の最高許容温度、熱伝導率)
- 周囲温度(周囲温度が高ければ電流容量が減少する)
- 密集度(密集すると放熱が悪くなるから電流容量が減少する)
- 布設方法

電圧降下

電源供給点から負荷までの電圧降下は、通常の運転条件下で公称電圧の5%を超えないこと。

11. 配線

緩み、誤配線などの防止、保全性を考慮する必要があります。

配線に関する要求事項

・1端子に対し1本の導体を接続する。
(端子が複数導体接続用に設計されている場合を除く)

iec60204-img13-ja

・保護導体は、1端子に1本だけを接続する。


iec60204-img14-ja
  • 端子台の端子には、図面上の表記と一致するようにマーキングもしくはラベル付けをしなければならない。

  • 識別方法は、数字、英字、色、または色と数字の組合わせ、色とアルファベットの組合わせでもよい。数字にはアラビア数字を、英字にはローマン体を用いる。

  • 誤接続によってリスクが発生する可能性がある場合は、導体・端子を識別できるようにしなければならない。

  • 識別用タグは、読みやすく、耐久性があり、設置環境に適していなければならない。

  • 端子台は、内部配線と外部配線が端子上で交差しないように配置し、配線を行わなければならない。

iec60204-img15-ja
  • エンクロージャ内の導体は、必要に応じて固定する。

  • 非金属製ダクトは、難燃性の絶縁材料を用いる。

  • エンクロージャ内に取り付ける電気装置は、前面から配線変更できるようすることが望ましい。制御機器をエンクロージャ裏面で接続する場合には、扉または外開き式パネルを用意しなければならない。

  • 扉や可動部分に取り付ける部品への接続は、可とう性導体を用いなければならない。

  • ダクトに収納しない導体やケーブルは、適切に保持しなければならない。。

  • エンクロージャ外への制御用配線には、端子台またはプラグ・ソケット対を介して接続しなければならない。

配線色

配線は、表示もしくは色によって識別できるようにしなければなりません。
使用可能色:黒、茶、赤、オレンジ、黄、緑、青(ライトブルーを含む)、紫、灰、白、ピンク、ターコイズ(青緑)

表6 配線の色(推奨)
給電目的 配線色
交流電力回路 黒(中性線はライトブルー推奨)
直流電力回路 黒
保護導体 緑・黄の組合わせ 
交流制御回路 赤
直流制御回路 青
例外回路 オレンジ


12. 警告表示

警告標識、銘板、マーキングおよび識別プレートは、設置環境下で十分耐えるものでなければなりません。(16.1)

感電のリスクを持つ電気装置を内蔵しているエンクロージャには、右の図記号を表示する必要があります。 感電のリスクの記号
電気装置の発熱する構成部品による表面温度のリスクを考慮する必要があります。人が触れる可能性のある部分の温度は、ISO13732-1で要求される限度値を超えてはなりません。
限度値を超えそうな部分には、意図しない接触を防止する保護手段を備えるか、右の図記号を表示しなければなりません。
感電のリスクの記号


13. 技術文書

設備の銘板に必要な情報

  • 供給者名又は商標

  • 要求される場合、認証済みの表示、又は国内の法律又は地域の規制で要求され得るその他のマーキング

  • 該当する場合、種類の表記、又はモデル

  • 該当する場合、製造番号

  • 該当する場合、基本文書番号(IEC 62023 参照)

  • 各入力電源の定格電圧、相数及び周波数(交流の場合)、全負荷電流

技術文書として準備するもの
a)複数の文書を備える場合は、電気装置関連の補足文書一覧を載せた電気装置全般用の主文書
b)電気装置の識別(16.4 参照)
c)次を含む,据付け及び取付けに関する情報

  • 電気装置の据付け・取付け、及び電源(該当する場合はその他の電源)への接続に関する説明

  • 各入力電源の電気装置の短絡電流定格

  • 各入力電源の定格電圧、相数及び周波数(交流の場合)、接地系統の種類(TT、TN、IT)、全負荷電流

  • 各入力電源に関する追加の電源条件(例えば、最大供給電源インピーダンス、漏れ電流)

  • 電気装置の撤去又はサービスに必要なスペース

  • 冷却のための配置が損なわれないことを確実にすることが必要な場合は,据付けの要求事項

  • 必要に応じて、環境上の制約(例えば,照明,振動,EMC 環境,空気中の汚染物質)

  • 必要に応じて、機能的制約(例えば,起動ピーク電流及び許容電圧降下)

  • 電磁両立性に関連する電気装置の据付けで必要な事前措置

d)例えば、次のような機械の近く(例えば、2.5 m 以内)にある同時に接触できる外部導電性部分を保護ボンディング回路に接続するための説明

  • 金属の管路

  • フェンス

  • はしご

  • 手すり


e)次(必要に応じて)を含む機能及び運転に関する情報

  • 電気装置の構造に関する概要(例えば,構成図又は全体図による。)

  • 意図する使用に必要な、プログラミング又は構成の手順

  • 予期しない停止後の再起動手順

  • 運転順序


f)次(必要に応じて)を含む電気装置の保全に関する情報

  • 機能試験の頻度及び方法

  • 保守作業を安全に行うための手順の指示、及び安全機能及び/又は保護方策を中断する場合の手順(9.3.6 参照)

  • 調整,修理及び予防保全の頻度及び方法に関する指針

  • 交換用電気機器の相互接続の詳細(例えば、回路図及び/又は接続表による。)

  • 必要な特殊機器又は工具に関する情報

  • 予備品に関する情報

  • 残留している可能性のあるリスクに関する情報、特別な訓練が必要かどうかの説明、及び個人用保護具が必要な場合はその仕様

  • 該当する場合は、キー又は工具を使用できる人員を電気取扱者又は電気作業員だけに限定するための説明

  • 設定(ディップスイッチ、プログラマブルパラメータ値、その他)

FA Direct Service ご利用案内

FA Direct Serviceをご利用の方はこちらをご確認ください。

お問い合わせ

ご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

サポート

よくある質問や国内外の販売拠点、販売中止品・推奨代替品のお知らせはこちら